「母がいるので国外脱出できない」市民は戦々恐々…プーチン大統領“予備役動員”表明(2022年9月21日)

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ロシアのプーチン大統領は21日、国民向けに演説し、予備役の動員を発表しました。

ロシア・プーチン大統領:「(ロシア軍は)へルソン州とザポロージジャ州の大部分とほかの一連の地域を、ネオナチから解放した。その結果、1000キロ以上の長い前線ができた。私たちは、ネオナチの組織だけでなく、実際には、西側集団の全軍事機構と戦っている。こうした状況で、私は次のような決定を下す必要があると考える。私たちの国民および解放された地域の人々の安全確保のため、国防省および参謀本部の提案であるロシア連邦での“部分的な動員”を支持する必要があると考えている」

部分的な動員。かつて軍に所属し、現在は、市民生活を送っている“予備役”の招集です。つまり、軍事スキルを持つとはいえ、一般市民を強制的に戦場に送り出すことを決めました。
ロシア・ショイグ国防相:「(Q.具体的な予備役からの動員人数は)予備役30万人が動員される。今回の動員は、大型のコンバインで穀物を収穫するように全員を無差別に動員するものではない」

2月、本格侵攻を開始する直前、ウクライナとの国境沿いに集結していたロシア軍の規模は15万~20万人程度とみられています。今回、新たに動員する予備役兵30万人は、侵攻開始時の兵力を優に上回るということになります。

これが部分的でなく“総動員”をかければ、2500万人はくだらないという脅しも加えました。
ロシア・ショイグ国防相:「ロシアには、膨大な動員リソースがある。兵役終了者、戦闘経験者、軍事上の専門を有する者など、2500万人以上いる。つまり“部分的動員”の対象になるのは、全動員リソースの1.1%ほど」

動員令は即日発効。ロシア大統領府が公開した10の条文では、なぜか第7項だけ情報が伏せられています。市民は戦々恐々としています。
モスクワ市民(20代):「兵役の経験があるので、動員されるのではないかと怖くてたまらない。対象も明確になっていないので、自分が該当するかもわからないので混乱している。EUに渡航できるビザを持っているが、高齢の母と婚約者もいるので、国外脱出にも踏み切れない」

アメリカ・ウォレス国防相:「プーチン大統領は、国民の一部を動員しないという自らの約束を破り、ウクライナの一部を違法に併合しているが、これは侵略が失敗していることを認めるものである。プーチンと国防相、装備も指揮系統も不十分なまま、何万人もの自国民を死地に追いやった」

現時点でロシア兵にどれだけ損耗が出ているのか、正確な数はわかりません。ウクライナ側の発表では約5万5000人。ショイグ国防相は「その10分の1であり、負傷兵の9割が戦線に復帰した」と主張していますが、だとしたら今回の動員は必要ないはずです。ロシア兵の消耗が激しく、補充に難儀しているというのは、かなり前から指摘されていたことです。そのため、兵員確保のため禁忌にも手を出しています。例えば、民間軍事会社を通じて、刑務所でのリクルートです。
民間軍事会社・ワグネル:「最低年齢は22歳から。ただ若者の場合は、近親者の同意文書が必要だ。最長年齢は、体力があればだいたい50歳くらいまで。面接で基本的なテストを行い、体力があるかどうかを確認する」
先日のハルキウ州撤退後には、“士官学校の卒業時期の前倒しを模索している”という情報も出てきています。

さらに、急いでいるのが、一方的に占領した地域のロシア編入です。住民投票を9月23日から27日の間に実施するという決定も採択されました。

東部2州だけでなく、南部のヘルソン州とザポリージャ州も編入の対象になります。クリミア半島のように一方的にロシア領土に併合し、既成事実を作ってしまえば、ウクライナ側は手を出せなくなると踏んでのことです。加えて、戦争研究所はこんな見方もしています。
アメリカの戦争研究所:「プーチンは、ロシアの民族主義者や親ロ派住民に領土の防衛を訴え、自発的に志願する兵を増やせると考えているようだ」

いま、国連では、年に一度の一般討論演説が行われています。ロシアを名指しする批判が相次いでいます。フランスのマクロン大統領は、ロシアに対して批判を控えている多くの途上国に向かって、こう呼び掛けました。
フランス・マクロン大統領:「皆さんには、 ロシアが戦争を放棄するよう行動してほしい。欧州は、戦争を避けつつ、ウクライナを支援する道を選びました。これは、多くの皆さんにとって身近な戦争ではないでしょう。しかし、誰もがこの戦争の代償を払うことになります。だから戦争を終わらせる役割を誰もが担うべき。自分より強い隣国に同じことをされたら「世界は沈黙すべき」などと誰が言えるか」

ロシアにとっては、西側諸国がスクラムを組んで対抗してくることが我慢なりません。プーチン大統領は、ビデオ演説の最後で、またも核の使用をちらつかせました。
ロシア・プーチン大統領:「我が国もさまざまな武器を持っており、NATOより新型のものもある。領土が脅かすことがあれば、国民を守るため、あらゆる手段を駆使する。これはハッタリではない。核兵器で脅迫しようとする者は、立場が逆転する可能性があることを知らねばならない」
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